ヒグマが庭にやって来た。人家との距離わずか数メートル

を書き、投稿したのが8月6日。
これは、自分が取材している農家の方の話と、世界自然遺産を有する知床半島で起きている飼い犬の襲撃事件があったため、このタイミングで書き始めました。

公開した日には、標茶町で家畜(牛)が襲われ、公開した翌日には札幌市内の住宅地においてヒグマが出没したという話。

なんていうタイミングでヒグマに関することを綴っていたのかと思うとともに、やはり北海道に住む人、北海道の自然を楽しむ人は、どんな角度からでも、ヒグマという存在を知らないといけないと思います。
この”知る”というのは、「ヒグマという名前の動物を知っている」ではなく、「ヒグマという動物がどんな生き物なのかを知っている」でないと、”知る”ではないのかなと。
つまりここでは、「知る=(少しでも)理解し考える」ということで”知る”という言葉を使っていきます。

さて、8月6日に更新した記事では「事例1」を用いて野生動物と人間との生活圏について綴っていました。
そして、具体的な事例として「ヒグマ」に関する内容にフェードしていったのです。

ではここからは、「ヒグマが庭にやって来た。人家との距離わずか数メートル」の続きとなります。

ヒグマは遊びでは無い。仕留めるためにやって来ている。

「ヒグマが飼い犬の命を奪った」というニュースは、ブラキストン線を超えた。
私がヒグマを観察の対象や撮影の被写体としていることを知っている本州のカメラ仲間や友人からは、心配の声を貰った。
「ヒグマが犬を襲った」「人間の生活のすぐそばで起きた事件」などと報道されれば、多くの人が恐怖心を抱くであろう。
もちろん、こういった事例を耳にするのは、自然の中で過ごす時間が多い人も相当警戒する事案である。

前回記事の最後にも触れたが、ヒグマは犬を嫌う。
例えば、北海道犬という犬種の犬はそう体が大きいわけではないが、ヒグマに対しても勇猛果敢に向かっていき、ヒグマを追い払ったりもする。
しかし、昨年から続いているヒグマが犬を襲うという事件。

ヒグマが生き物(生死問わず)を捕らえるときには、次のようなパターンが考えられる。
・遊びのため
・餌にするため
主にこの2つとされています。
「遊びのため」とはどういうことか、命を弄ぶ、粗末にするということではなく、「狩りの練習として捕らえる」という認識になるかなと。主に川を遡上してくるサケやマスを捕らえはするものの食べずに川辺に放置していくなどですね。
もう一つの「餌にするため」というのは文字通りで、捕らえて絶命させ生命をいただくというものです。時にはすぐに食べず、土の中に埋めておくなんて行為もあります。

さて、今知床半島で起きているヒグマの飼い犬襲撃事件のニュース。ヒグマは犬を食べてしまっているのです。
例えば、ヒグマにとって嫌な存在であるだけならば、攻撃し絶命させるに留まるのでしょう。しかし、どの事例でも捕食されているのです。
つまり、当該ヒグマは「人家の近くには犬がいる。そしてその犬は捕食できる餌で、エゾシカなどと違って逃げていかない」と思っているのではないでしょうか?
飼い犬のほとんどは、犬小屋などと鎖やロープで繋がれ、ロープの長さの範囲でしか動けない状態です。
イメージとしては、”生きた魚を餌にする釣り”といった状態に近いのでしょう。
ヒグマは、縦横無尽に素早く逃げ惑う生き物をそうそう追い続けません。しかし、何かに繋がれた犬は訳が違いますよね。
ヒグマは、学習能力が非常に高い生き物です。なので、もう気が付いてしまい、習慣にしようと決めたのでしょう。

ヒグマとの距離が近いが故に

もしヒグマと面識の無い人が「近くでヒグマが出ている。不要不急な外出を控えて」とアナウンスされた際、どんな感情を抱くか?
「怖い」「近くに来たら嫌だな」「戸締りとか片付けられるものは片付けよう」そんな感じじゃ無いでしょうか?
ヒグマの過密地帯とされる知床半島であっても、そう簡単に出会うことはありません。「犬を襲った」という報道があった後も犬の散歩をする住民の姿ももちろんある。
これまでにも地域の人に”ヒグマ”という存在について、何度も話を聞いたことがある。
皆が口を揃えていうのは「知床だもの」。これは「(ヒグマが住む場所に自分達も住んでいるからヒグマが身近な生活というのは)知床だもの(仕方がない)」という意味を含んでいる。
つまり、「常日頃から自然の中に人間の生活がある」ということを十分理解している様子も伺えた。この意識については、どこの地域よりも浸透している気がする。世界自然遺産がもたらした功績なのかもしれない。
一方で少しの過信もあると話してくれた。「知床のヒグマは事故を起こさないと思っている」と。根拠を尋ねると「お互い嫌な存在であることを知っているから」という声も聞けた。
世界でも有数のヒグマの密集地であるにも関わらず、大きな被害が少ないなど”一定の理解”は出来るかなと。ただ「こういった対策をしているから!」という、具体的な対策ではなく、感覚的な話だったのが個人的に少し引っかかるところでもあった。
日頃から、「ヒグマの手の届く範囲に人間の食べ物を置かないように」と行政や関係機関からアナウンスがある。それは、一時的に滞在する観光客のみならず、地域に住む人に対してもそうだ。とある人は、「乾物干しが軒先などにぶら下がっていることがある。昔からやっているから大丈夫と言う人もいれば、こないだ取られてしまったと頭を傾げる人もいる。”乾物を干す”と言う行為がヒグマを誘引する恐れのある行為にもなり得ることを分かっているけど伴わない人も少なからずいる」と話してくれた。確かに、私自身も中に魚が入っているかは不明だが、目線の高さに吊るされているものを見たことはある。
ヒグマとの距離は極めて近い。しかし、その近さと数に対して、事故の発生が極端に少ないことからか、”少しの過信”というものがあるのかもしれない。

犬は餌。その学習は危険なことかもしれない

日本での”犬”に対する認識は、ペットという認識の人がほとんどだろう。
しかし、前述のとおり、ヒグマは犬のことを”敵”でもなく”餌”という認識を持っているかも知れない。
ヒグマは、執着心が強く、独占欲が強い。
現場に残された糞DNAからは、一連の犬の襲撃事件の犯行は”同一のオスのヒグマによるもの”と、判別されている。
犬を口にしたのが、そのオスのヒグマ1頭だけなのか?山を歩く中で落とし、他のヒグマが食べたりはしていないのだろうか?
1頭であれば、そのヒグマを捕獲すれば「犬は餌」と学習したヒグマをこのエリアから排除することは出来るのかも知れない。
しかし、2頭、3頭と広がりを見せる事態になったら?もしかすると、既にそんな事態になっているとしたら?
遺伝情報として拡散されて行くかもしれない。

だからこそ、関係各所からの”お願い”として、「飼い犬の室内での飼育」を呼びかけている。
それでも、犬が捕えられる。
そして、日昼だけ外に出している犬でさえ狙うようになった。
「人目に付きやすい日昼の行動は大胆と言え、執着の度合いが強いのは確実」との見解を示す専門家の声も聞いた。

「これからもお願いを続けていかないといけない。あくまでもお願いを」と続けた。

”お願い”って難しい

乾物を干すことに関してもそう。犬の飼育方法についてもそう。
”ヒグマの手の届かない位置へ”とか”室内での飼育を”というのも全てお願いで行なっているのが今の状況。
お願いして理解を得られるケースが多いそうだが、中には、反論してくる方もいるそう。あくまでもお願い。賛同を得られなければ、「お願いしたことを謝る」という辛い結果が待っていることもある。

車からのポイ捨ては道路交通法違反。単純なポイ捨てでも軽犯罪法違反と言える。
だからこそ法律を根拠に注意し是正を促すこともできる。
だが、法律で定められていない行為に対し是正のお願いをすると「何を根拠に?」「あなたに言われる筋合いはない?」という展開にもなりかねない。
「法律がないなら規則や条例の整備が不可欠だと思う。何でもかんでも規則や条例、法律がないと物事を円滑に進められない」というのは、とても寂しく悲しい話ではあるが、モラルや情に訴えかけるのは、人によって基準が異なり、トラブルの温床でもあるからこそ、ローカルルール(各自治体での規則や条例)の制定に待ったなしだと私は思う。
今回のヒグマのケースで言うならば、「飼い犬の飼育方法に関する規則」のような簡易的な規則を設けたり、既にある規則に、「屋外飼育を行う際は電柵などで囲われた場所での飼育を行うこととする」などの文言を追記すれば良いと思う。
あなた自身に被害は発生しないかもしれない。だけど、あなたの振る舞いが起因となり、隣人が悲しい思いをするかもしれない。
自分自身が悲しい思いをするなら、それは、自己責任と言えるかもしれない。
しかし、自分の振る舞いで他者に悲しい思いをさせたとき。あなた自身は知らない顔かもしれない。だけど、その悲しい思いをするのが「あなたの大切な人かもしれない」と思って行動してほしいと願うばかり。
対策をしても、結果はすぐに現れないかもしれない。
もしかすると、対策をしなくとも次の事案は発生しないかもしれない。
良かれと思って対策をしても、被害を0にすることができないかもしれない。

100%を求めていたら何も行動はできません。
少しの可能性を潰していくことが、確固たる対策や改善になるのではないでしょうか?

「やっても本当に効果あるのか?」という疑念で行動しないのか。
はたまた、「無駄になってもしてみる」なのか?
これはとても大きな差です。
人間にできることは、「これまでの経緯を振り返り、皆で協力して問題解決に努め、未来への財産を作り出す」ということではなかろうか?

度々綴るこの手の記事ですが、実際に行われたニュース報道や自分自身で現地に赴き取材した内容をもとに綴っています。

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